最初に
こんにちは!AI部の吉富です。
皆さん、社内へのAI情報発信や浸透はどのように行われていますか?
現在、ドリコムAI部では社内向けの「AIポータルサイト」を開発中です。今回は、なぜ今ポータルサイトが必要なのか、そしてAI活用推進の立場としてどのような機能を盛り込んだのかをご紹介します。
なぜ今、ポータルサイトが必要なのか
私たちはこれまでも、「AIDAY」などの社内イベントや、チャットツール上の「共有部屋」を通じて発信を行ってきました。しかし、部内での議論を通じて、AI活用をさらに加速させる上で「既存の手段では拾いきれない価値」があることが明確になりました。
1. チャットツールの「成果バイアス」と「埋もれる知見」
Slackなどのチャットツールは情報の即時性に優れていますが、運用していく中で「”成果”としてまとまっていないと投稿しづらい」という心理的なハードルが生まれていました。
- 発信する側:「うまくいったこと」は投稿できるが、試行錯誤中の「失敗」や「小さな発見」は投稿を躊躇してしまう。
- 受け取る側:完成された成果物以外に対して、どのようなリアクションを返すべきか迷うことがある。
しかし、AI開発において本当に価値があるのは、成功した結果そのものよりも、「1つの成果が出るまでの過程(失敗談、プロンプトの工夫、エラーへの対処)」にこそあります。チャットという「フロー型」のツールでは、こうした貴重な「過程の知見」が流れてしまい、後から検索して再利用することが困難でした。
2. イベント発信の「タイムラグ」
また、社内イベントでの共有も重要ですが、開催準備や時間の制約があるため、日進月歩で進化するAIのスピード感に情報の鮮度が追いつかないという課題がありました。都度しっかりとした資料を作るコストも無視できません。
結論:「過程」を「ストック」する場所を作る
そこで我々は、チャットのように流れてしまわず、かつ資料作成のような高コストもかけずに、「日々のニュースや検証の過程(プロセス)を、可能な限り”楽”にストックできる場所」として、社内ポータルサイトの構築に至りました。
開発・運用思想:徹底して「楽」を追求する
「過程」をストックするためには、投稿のハードルを極限まで下げる必要があります。そこで、開発手法はもちろんのこと、稼働後の「サイト運用」においても最大限にAIを活用し、徹底して「楽」ができることを重視しました。
🛠️ 今回のTech Stack
- 開発支援: Claude Code (Model: Claude Opus 4.5)
- インフラ: AWS Amplify (Gen 2)
- サイト内生成AI: Gemini 3 Pro Preview / Gemini 3 Pro Image Preview
1. 「開発の楽」を満たす技術選定:Agentとの親和性
実は私自身、元々はクライアントサイドのエンジニアとして開発業務に従事しており、サーバーサイドの環境構築を0から100まで独力で設計・実装した深い経験はありません。
そんな「非サーバーエンジニア」の私が今回重視したのが、AI Agentによるバイブコーディングとの親和性です。
開発プロセス自体にClaude Codeを利用し、可能な限りAI主導のコーディングに委ねるスタイルをとっています。そしてデプロイ先にはAWS Amplify(Gen 2)を採用しました。
Amplifyには amplify/data/resource.ts などにデータモデルをコードとして定義することで、DynamoDBなどのリソース構成を一括で行ってくれる機能があります。これにより、以下のフローが可能になります。
- Agentによる定義:人間がAWSコンソールを操作するのではなく、AI Agentにデータモデルのコードを書かせる。
- GitHub連携:生成されたコードをリポジトリにプッシュする。
- 自動構築:Amplifyがコードを読み取り、デプロイからDB構築までを一貫して自動反映する。
この構成であれば、人間が手動でインフラを詳細設定することなく、「コードを書く(書かせる)」ことだけに集中できるため、専門的なサーバーサイドの知見が不足していてもスムーズな立ち上げが可能となりました。
2. 「運用の楽」を満たすAI機能の実装
ポータルサイトを作っても、記事を書くのが面倒で更新されなければ意味がありません。そこで、コンテンツの「生成」と「検索」にGoogleの最新モデル Gemini 3 Pro シリーズを組み込んでいます。
📝 AIによる記事生成アシスト
通常の手動投稿に加え、AIを利用した記事作成機能を実装しました。「箇条書き」などの簡単なメモを入力するだけで、Gemini 3 Pro Previewが一瞬で記事の下書きまでを作成してくれます。
🎨 オンデマンド画像生成
記事のアイキャッチや挿入画像の準備は意外と手間がかかるものです。そこで、画像のアップロード機能に加え、Gemini 3 Pro Image Previewを活用した生成機能を搭載しました。
記事の内容や自然言語プロンプトから、その場で画像を生成して貼り付けられるため、素材探しの時間をゼロにできます。
🔍 AI検索(検討中)
現在はキーワードやタグ検索が主ですが、将来的にはサイト内の蓄積された情報をAIで検索・要約して回答する機能の実装も検討しています。
まとめ
このポータルサイト開発における最大の収穫は、開発から運用までのあらゆるフェーズで「AIに任せる」という選択肢が実用的になっていると実証できたことです。「書くのが面倒」「作るのが大変」というボトルネックをAIで解消することで、本当に価値ある「知見の中身」に集中できる環境が整いました。
そして、この環境は私たちエンジニアが「作れるもの」の範囲も劇的に広げてくれました。サーバーサイドの専門家ではない私でも、Agentと最新モデルを組み合わせることで、ここまでのシステムを短期間で構築し、運用に乗せることができています。
今後もこのポータルを通じて、「成果」だけでなく「過程」の知見が自然と集まる仕組みを磨き込み、社内のAI活用をさらに加速させていきたいと思います。