これは ドリコム Advent Calendar 2018 の 7日目です。
6日目は 山﨑拓也 さんによる JavaScriptで書いたDeflate圧縮アルゴリズム高速化の話 です。

はじめに

はじめまして。
ドリコムでサーバーエンジニアをやっている hirowatari と申します。

ゲーム好き!
カードゲーム大好き!
ボードゲームめっちゃ好き!!

という、デジタルもアナログも行けるクチのゲーム好きです。

最近「何か自分でも作ってみたい!」と思い、社内でゲームジャムというイベントを開催してみました。
今回はその紹介をしたいと思います。

ゲームジャムとは

由来はゲーム×ジャムセッション。

限られた時間、決められたテーマという厳しい状況の中で、その場の勢いでゲームを作るというイベントです。

早い話、ゲーム版のハッカソンと言えるでしょう。

とにかく時間がないのが特徴です。
みんなで焦りながら、あーでもないこーでもないと賑やかに作ることになります。

テーマについては、候補をあらかじめいくつか決めておき、当日サイコロを振って決めています。
決まった瞬間の「ええー!?」という声が楽しいです。

それでは、実際に出来上がった作品を、いくつかご紹介したいと思います。

第1回:テーマ「みかん」

1回目は紙やペンを使ったアナログゲーム限定としました。
テーマは、ドリコムの象徴の一つである【みかん】です。

みかん転生

みかんが別の存在への転生を目指すゲーム。

手札のみかんアイデンティティ (あまさ・すっぱさ・みずみずしさ)を捨てて、山札から新たなアイデンティティ (とろみ・香ばしさ・スパイシーさ・etc…) を手に入れていく。
みごと別の存在に転生できれば勝利点をゲット。

ドリコム食堂

すごろく風の盤面を巡って食材を集め、カレーやポテトサラダといった料理を作り販売する。
ただしみかんは特殊な素材で、どの料理にも必ずみかんを付けなければならない

全員が欲しがるみかんを使った駆け引きが肝。

第2回:テーマ「超える」

2回目はデジタル部門デザイン部門などジャンルを増やしてみました。
テーマは、ドリコムの企業理念である『人々の期待を超える』から【超えるです。

ムーンショット(デジタル部門)

パーツを購入してロケットを組み立て、月を超えることを目指す。
パーツカードは紙とペンで、発射シミュレーターはUnityで作成した。

飛行処理は物理挙動でブラックボックスなので、どのパラメーターがどう影響するか試行錯誤が必要。

Border yarn(デザイン部門)

世界の境目を超えてやってくる毛糸の魔物を倒し、境目の綻びを修復するARシューティングゲーム。
特定の画像をARマーカー(世界の境目の綻び)として読み込み、そこから魔物が飛び出してくる。

見た目の真新しさを考慮して、モチーフは毛糸のデザインにした。

ゲームジャムの2つの制限

いかがでしたでしょうか。

もしかしたら、
「面白そう!自分もいつか、何か作ってみたい!」
と思ってくれた方もいるんじゃないでしょうか。

しかしこの「いつか」「何か」は、なかなか厄介なシロモノです。
人間、ここから具体的な行動に移すのが難しい。

もし何の制限もなくて、
「締切とかないからさ、ちょーいいモノ作ってよ」
って言われても、何をいつまでに作っていいか悩んじゃいますよね?

こうした状態を打破して創作に向かわせるために、ゲームジャムには2つの制限があります。

時間の制限

人間には時間があればあるだけ使ってしまうという、残念な性質があります。
夏休みの宿題をギリギリまでやらなかった、なんてのはよく聞く話でしょう。

 そこでゲームジャムは、あえて時間を短めに設定して行います。
(1回目は4時間、2回目は6時間で行いました)

たかが数時間なんて、ゲームを作っていたらあっという間です。
余計なことをしている時間なんてありません。

必然的に、ゲームを作ることに全エネルギーを集中させることになります。

そうです。
時間を制限することが、かえって創造性を高めることにつながっているのです。

長時間ダラダラ行うより短時間の集中!です。

テーマの制限

「全部好きにしていいから、何か新しいものを作ってよ」
そう言われた場合、人は最高の創造性を発揮できるのでしょうか。

おそらく難しいでしょう。
「好きにしていい」という選択肢が多すぎる状態だと、逆に人は迷ってしまいます。

そこでゲームジャムでは、あえてテーマを制限します。
テーマを起点にして、そこから発想を拡げていくためです。

そうです。
ときには方向性を示してあげることが、かえって創造性の向上つながるのです。

目指すべき方向を明確にせよ!です。

ただし目的は、あくまで発想の起点にすることです。
あまりに範囲が狭いテーマは発想を縛ってしまうので、その点はご注意下さい。

 

制限がもたらすもの

時間を制限する。
選択肢を制限する。

この2つを意識することは、日々の仕事でも役に立つんじゃないでしょうか。

『制限は創造の母』とは、よく言ったものだと思います。

ところで、もともと動物でもある人間の本質は、楽をすることだという話を聞いたことがあります。
何の制限もないと、人は余計なエネルギーを消費しないように、ひたすら楽な方向に向かってしまうのだそうです。

野生の動物ならそれでいいのかもしれません。
でも人がいきいきと生きていくならば、適度な刺激や課題は不可欠なのだと思います。

超えられそうにない高い壁を、なんとか越えようと奮闘する。
そんな中でこそ、人は新しい何かを生み出せるのではないでしょうか。

 終わりに

とまあ、こじつけて色々と書いてしまいましたが。

ゲームジャムを開催している目的は、
「作るのって楽しいよね!みんなで作って遊ぼうぜ!」
という、ただそれだけだったりします。

仕事としてプロジェクトに携わる場合、長いスパンで一つのゴールを目指し続けます。
数ヶ月、あるいは数年というケースもあります。

でもずっと同じものを見続けていると、だんだん本来の姿が分からなくなってきたりします。
目指すものが見えなくなったり、モチベーションが下がったり…。
そんな事もあるんじゃないでしょうか。

そういった時に、何かを作るのは楽しいことという原点を思い出してみる。
そこから刺激を受けて、日々の仕事に持ち帰る。

たまにはこんなことをしてみるのも、有意義なことなんじゃないかと思います。