これは、ドリコムAdventCalendar2017の21日目です。

20日目は、山平憲一郎さんによる「初めてのラズパイ」です。

はじめに

みなさんこんにちは。新卒1年目、クライアントエンジニアの志村です。業務内容としては主に運用中ゲームプロダクトのバージョン開発および、本技術ブログ「Tech Inside Drecom」の運用などをやっています。

今回は、「変態エンジニアになりたいあまりに勉強を楽しめていなかった私が、素直に勉強を楽しめるようになるまで」についてのお話をしようかと思います。

なんでこのお題にしたのか?

私が入社して半年強の間で起こった変化の中でもっとも大きい変化であり、また、この変化のおかげで以前の私よりもずっと日々を平和に過ごせているからです。具体的には…

  • 仕事中、随分安定した精神状態で仕事ができるようになった
  • 仕事、私生活のあらゆるところで勉強に限らずフットワークが軽くなった
  • 結果的には、変態エンジニアに近づいた!(かも?)

などなど。

この記事が、「勉強つまらないけど仕事だから嫌嫌やってるんだよね」と思っている方や「自分の好きなことが見つからない」という方が、少しでも幸せになれるきっかけになれたらいいなと思います。(新卒1年目のくせに何を言っているんだという話ですが…)

 

つまらない、くだらないと思う方もいらっしゃると思いますが、もしよろしければおつきあいいただけますと幸いです。

以前の私は「こうせねばならない」に縛られすぎて勉強が楽しくなかった

入社当時の時点での私は、エンジニアになるからには「変態エンジニア」になりたい!と思っていました。ここで言う「変態エンジニア」とは、自分の興味の赴くままにひたすらに技術に浸かり、仕事の中では難しいことをさらっとやってのけるような人のことです。

エンジニアの業界にいると、そういう方々は多くいらっしゃると思います。私は、そんな人たちをとてもかっこよく感じ、憧れていました。そして、そんな人たちに近づくため、まずは色んな技術を勉強しなきゃと思い、毎日帰宅後に自宅近所のカフェに行って閉店時間まで本を読むということをしていました。

しかし、毎日真面目にカフェに通っていたはいいものの、読むからには「こうせねばならない」と思っていたことが、自分に重くのしかかって、読んでも内容がきちんと頭に入ってきませんでした。

  • 楽しく読まなければならない
  • 楽しいはずなのだから、すぐに読み終わらなければならない
  • 読んだ後は、ちゃんと内容を理解し説明できる状態でなければならない

自分が「変態エンジニア」になりたいと思っていたばっかりに、自分の勝手なイメージから作り出された「こうせねばならない」の軍団たちです。

そもそもこう思って自分を縛り付けてるということは、「自分は変態エンジニアになれない」という前提があるということなのですが…元々自分に自信がなく、自分を卑下しながらここまで年月を過ごしてきたので、あまりこの行動にも違和感を感じないままに、勉強を続けていました。

そんな私が、自分の状況について「あれ?」と思うきっかけになったのは、とある先輩社員の方から「自分のなりたい姿」について聞かれたからでした。

自分のなりたい姿って?

弊社の新卒3年目の磐井が以前記事にしていたように、私も入社してから2ヶ月ほどたったころ、先輩社員の方から「自分のなりたい姿を見つけたら、きっと仕事の中で何をするべきかわかってくるよ」というお話をいただきました。

そしてそのアドバイス通りに、私の「なりたい姿」を探そうとしてみたところ…壁が立ちはだかりました。自分が何をしていたら楽しいと思うのか、全くわからなかったのです。

確かに「変態エンジニアになりたい」とは思っていましたが、それはあくまでも憧れから生成される姿であったことに気づき、自分が心のそこからプログラミングを楽しいと思っているのか、いざそれを改めて考えると、答えが出なくなってしまいました。

そこで一度、入社当時からの私を振り返ってみると、私の行動は全て私の気持ちを無視した「こうあるべき」によって決められていたことがわかりました。

あらゆる場面で、「自分がどう感じているのか」「自分がどうしたいのか」を考えずに、これまで構築されてきた「こうあるべき」に沿った行動を選択してきたことで、自分の気持ちが全くわからなくなっていたようでした。

自分の気持ちもわからない私が「なりたい姿」を考えようとしても決められるはずもなく…。ここから私の「なりたい姿」を見つけるために「自分の気持ちを探す旅」がはじまりました。

「それ本当に好きなの?」を自分に問いかけてみたら迷子になった

「自分の気持ち」を探すべく、まず私は勉強や他の趣味などをやるたびに「それ本当に好きなの?」と自分に問いかけを行ってみました。

そうしてみるとあらびっくり、自分は好きだと思っていたのに、改めてちゃんと自分に問いかけてみると「いざ本当に好きなのかと言われるとそこまで好きでもないかもなあ…」と思ってしまうのでした。

それが私の気持ちなのかと。実は私は何も好きじゃなかったのかと。そう思ってしまうと今までの日々は一点、何をしてもつまらなくなってしまい、しばらく投げやりに過ごす日々が続きました。

それでも日々が過ぎれば、仕事に対する焦りがでてきます。

「なりたい姿を見つけて仕事に生かしたいのに、なりたい姿がいつまでたっても見つからなそう。もう嫌だ…」

でも、なりたい姿を仕事に生かすっていうのも、自分の中の「せねばならない」の一つなんだろうか。いやそんなはずは。でもわからない。お先真っ暗だ…。

そうして雁字搦めになってしまい迷路から出られなくなっていた私は、現状に耐えきれずとある知り合いの方の元を訪ねて、「自分が何が好きなのかわからない」ことを相談しました。

そしてその知り合いの方は、二つの「やってみたらいいこと」を教えてくれました。

それは、

  • 好きだと思っていたことを列挙してみる
  • 人および自分から得る「こうすべき」を一旦遮断する

ということでした。

好きだと思っていたことを列挙してみる

「それ本当に好きなの?」と問いかけた結果、元々自分が好きだと思っていたことが結局は好きじゃなかったんだ…となっていた私ですが、相談した知り合いの提案で、「自分が好きだと思っていたことを列挙してみる」ことをしてみました。

その時大事なのは、「それ本当に好きなの?」という問いかけは絶対にしないこと。上辺だけの「好き」かもしれなくてもいいから、まずは一旦列挙してみることが、最も大事なことです。

また、全部出し切る努力をしなくても大丈夫です。一つでも二つでもあれば、問題ありません。仕事に関係なくても、大丈夫です。

自分の好きだと思っていたことを列挙してみると、私の場合以下のようになりました。

  • 物の構造を考えること
  • バイク
  • 歌うこと
  • 絵を描くこと

列挙できたら、次のステップとして、自由に好きなことについて考えてみました。

「中学生のころ、自分が作りたいゲームの構造を考えて眠れなくなったことがあった。開発をするとき、一番楽しいのはアルゴリズム考えてる時なんだよな…」

「バイクはやっぱり大型がかっこいい。KTMのカラーリングすごく好き。いつか買えるならAGUSTAのF4ほしい。乗るのは怖いから、見ているだけでもいいかもしれない。ライトが一つのバイクが好きみたい」

「歌は高校のころからバンドでボーカルをしていたから好きなはず。その歌の歌詞だったり背景を考えながら歌うのが気持ちいい」

「絵を描くことも好き。小さいころからずっと絵を描いてきた。ボールペンとかで自由に人の骨格を描いたり、ゲームのパッケージ絵みたいな細かい絵をがしがし描いていくのが楽しい」

などなど、こんな感じに。

 

そして、上記の一連の作業をやった後に、最後の仕上げとして「ほら、こんなに好きなことあるんじゃん」と自分自身を肯定してみました。

結果、肯定した瞬間に、自分の中にある「好きなものに対してワクワクする気持ち」をほんの少しだけ感知することができました。(正直、今まで感じたことない感覚でした)

この、ワクワクの気持ちを感知する体験をしたことで、今まで自分に「本当に好きなの?」と問いかけて「そんなに好きじゃないんだ」と思っていたことが、実はちゃんと好きだったことに気づき、

また、この日から少しだけ、日常の中での自分の気持ちを感知することができるようになりました。

ワクワクを感知する能力を得たことが、この半年強の中で得た一番大きなことだと思っています。

人および自分から得る「こうすべき」を一旦遮断する

自分の気持ちを感知する能力を得た私が次に行ったことは、「人および自分から得る「こうすべき」を一旦遮断する」ということでした。

もちろん、先輩社員の方々からいただくアドバイスであったり仕事のやりかた・考え方を無視しろ、ということではないです。

あくまでも私の場合は、先輩社員をはじめ、自分も含めた周りの人たちから与えられる「こうすべき」に縛られ過ぎていた傾向があったので、自分の気持ちをまず把握することをするために、一旦いただいたものを遮断して自分の気持ちがわかった上でじゃあどうするか?を考えよう、ということです。

ここで大事なことは、自分を縛り付ける「こうすべき」を発しているのは主に「自分自身」であることです。自分の気持ちを感知する部分と、「こうすべき」と思ったことを行動しようとする部分は、全く別のものとして考えることが必要でした。

そして、仕事を含む日常生活の中で、「人および自分から得る「こうすべき」を一旦遮断する」ことを行ってみました。

はじめは中々難しく、どれを遮断すべきかわからなくなったり、逆に遮断しすぎてしまったりすることも多々ありました。

正直今でもあれ?また「こうすべき」で考えてた!と思うタイミングは全然ありますが、「こうすべき」を遮断することを意識して日々を過ごしてみた結果、以下のような変化が起こりました。

  • 仕事上で、数多の「こうすべき」に囲まれて対応できずに泣いていたところを、自分の中の評価軸で取捨選択できるようになり、精神的に落ち着いて自分のペースで仕事ができるようになった
  • 複数の仕事をどれか選ばせていただけるような場面で、「自分が本心でどれをやりたいと感じているか」を把握した上で話せるようになった(以前はいただけるならなんでもありがたい、という気持ちでした。もちろん、どの仕事でもありがたいことは変わらないですよ!贅沢な話です)
  • 私生活の中で、自分の「ワクワク」を原動力に比較的素直に行動ができるようになった(フットワークが軽くなった)

などです。

注目したいのは三点目。

この、「ワクワク」を原動力に比較的素直に行動ができるようになったことで、入社当時色々なものに縛られて勉強が楽しくなかった私が、純粋に勉強を楽しめる状態になっていました。

自分の「ワクワク」を感知することで勉強が楽しくなった!

ここまでで私が得たのは「自分の気持ちを感知する能力」でしたが、その能力を得ることによって、記事冒頭でお話していた、

  • 楽しく読まなければならない
  • 楽しいはずなのだから、すぐに読み終わらなければならない
  • 読んだ後は、ちゃんと内容を理解し説明できる状態でなければならない

こういった「せねばならない」軍団に縛られることなく、自分の気持ちの赴くままに勉強を楽しむことができるようになりました。

勉強に限らず、イラストを描くことも、音楽に勤しむことも、以前の私であれば「エンジニアなのだから勉強するならエンジニアに関係していることでなくてはならない」と思って弾いていたようなことも、自然にできるようになりました。

今では、エンジニアの勉強会に自発的に参加したり、デザイナー関係の勉強会にも参加してみたり、P C自作をしてみたりと行動をしていますが、それら全て、きちんと楽しむことができています。

加えて、勉強のための行動を起こすことが以前よりもフットワーク軽く行うことができるようになりました。

また、楽しめることの相乗効果として、内容の理解も以前よりしやすくなった感触もありました。いいことずくめです!

ただ、まだ自分のワクワクを感知しきれなかったり、自分の中の「こうすべき」との折り合いがつかなかったりすることはあります。そこは、段々と慣れていって、意識せずとも気持ちを感知して物事を判断できるようになれればいいな、と思っています。

まとめ

ここまでで、自分の気持ちを感知することで、仕事や日常生活に良い変化が起き、勉強も自分の気持ちを原動力に楽しめるようになりました!ということを書いてきました。

そして、今の状態の私を俯瞰して見てみると、あれ‥?

「私が入社当時に考えていた「変態エンジニア」の姿と、少し似てきたんじゃないか?」

そうなんです。記事の前半付近にて、変態エンジニアのイメージから出る「こうせねばならない」軍団として、

  • 楽しく読まなければならない
  • 楽しいはずなのだから、すぐに読み終わらなければならない
  • 読んだ後は、ちゃんと内容を理解し説明できる状態でなければならない

上記三点をあげていましたが、今の状態の私は少なくとも二点、「楽しく読む」「読んだ後は、内容を理解する」を、以前よりもクリアできている状態になっていました。

 

入社当時は想像もしていなかった変化を遂げた私ですが、自分の気持ちを感知して大切にすることの大事さをこの半年強で学ぶことができ、以前よりもずっと日々のお仕事と私生活を楽しむことができています。

この状態なら、もしかして「変態エンジニア」になれるかも‥!?

いやいや、そんなこと考えていたらまた「こうすべき」に縛られてしまいますから、私は私のペースで、これから頑張ってやってゆこうと思います!

さいごに

私が冒頭でお話した「変態エンジニア」の人がこの記事を読んだら、「??」となるかもしれません。こんな風な状態になっていたのは、もしかしたら私だけかも。はたまた、皆さんもうとっくのとうに乗り越えていることなのかも。など、この記事を書いている間思うところはたくさんありました。

でも、やっぱりこの半年強の中で私が得た一番の能力だから。と思って、今回は思い切って記事として書かせていただきました。

こんな、やっとスタートラインに立てたような私ですが、自分のペースは保ちつつも、今回得た能力を足がかりに一生懸命成長していきたいと思っています。

 

お付き合いいただき、ありがとうございました。