はじめに
これは ドリコム Advent Calendar 2021 の23日目です。22日目は 福井敬徳 さんの GKEでGitLab Runnerを動かしたい です。
自己紹介と執筆背景
こんにちは、enza部のAnD00です。今年の6月頃からプロジェクトのディレクターを務めています。
これまでサーバーサイドエンジニアを主軸に活動してきたので、正直言って未知の体験ばかりでした。
なので、上期は良くも悪くも、そつなくこなしたという結果に終わったと感じています。
そこで下期は、自分が目指したいチームを掲げていこうと決意し、行動規範を作ることにしました。
今回の記事では、その行動規範を作るまでのプロセスや実際に作った行動規範について紹介していきたいと思います。
- どうやってリーダーシップを発揮すればいいか分からない
- チームに文化が根付いていかない
- メンバー1人ひとりに自律的に行動して欲しい
行動規範とは
組織共通の価値観や判断基準となるものです。組織に属する人の個性は十人十色で、それぞれが特性を発揮できるのは良いことですが、何も意識せずにいると「いつの間にか目指している方向性がバラバラになっている」といったことが発生します。
そういったことにならないよう、全員が同じ目標を目指して進むための基盤となるのが行動規範です。
行動規範(バリュー)は、企業理念(ミッション・ビジョン)と深く関わっていて、行動の先にあるゴールがミッション・ビジョンの実現に繋がることが大切です。
ドリコムのミッション・ビジョン・バリュー
今回は自分が属するプロジェクトチームの行動規範の紹介ですが、ドリコムのミッション・ビジョン・バリューに密接に関わっているものなので、先にそちらを紹介しておきます。詳細な説明はコーポレートサイトに載っているので、興味がある方は覗いてみてください。
ミッション
with entertainment ~人々の期待を超える~ビジョン
発明を産み続けるバリュー
真摯であること本質を捉える
変化に挑戦する
なぜ行動規範を作ったのか
自分が属するプロジェクトは運用・保守が中心で「安定運用と開発効率化」が基本的な方針となっており、新規の機能開発や企画は少ない状態です。チームとしては安定しているのですが、変化が感じられず、停滞感が拭えなくなってきているのも事実でした。
どうすれば、チームがドリコムのミッション・ビジョンの実現に向かって動くことができるのか。
どうすれば、自分はリーダーとしてチームを先導することができるのか。
なかなか自分の中での答えが見つからず、悩む時期がありました。
そんなときはとにかくインプットするに限ると思い、リーダーシップについての書籍を読むことにします。
いくつかの書籍を読む中で、だんだんと自分の目指したい姿が明確になっていきました。
読んだ中でも特に印象に残っているのは、「Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる」という書籍です。
『Who You Are(フーユーアー)君の真の言葉と行動こそが困難を生き抜くチームをつくる』
ベン・ホロウィッツ 著(日経BP 2020年4月17日発行)より引用
心にグサッと刺さった言葉はいくつもあるのですが、その中でも一番好きな一節を紹介します。
この言葉によって、自分の中での「リーダーとは何か」という考えの解像度がグッと上がりました。
文化は、あなたが何に一番価値を見出すかを知ることからはじまる。
その価値観を反映する行動を組織の全員が実践できるように、リーダーは努力し続けなければいけない。
行動規範があやふやだったり、煩雑で邪魔にしかならないものなら、それを変えなければならない。
そしてなにより社員の行動に細心の注意を払い、自分の行動には一層注意しなければならない。
あなたの行動は企業文化にどう影響しているか?
あなたは自分のなりたい人間になっているか?
それが、素晴らしい文化をつくるということだ。
それが、リーダーになるということなのだ。
“自分自身がどんな人間になりたいのか”
その理想を行動規範として定義し、そして自分自身が理想に向かって行動を起こしていくことが、リーダーとしての第一歩であると考えました。なりたい理想のチームを決める
行動規範を作るべく、自分やプロジェクトチームが大事にしている価値観を言語化するところから始めました。そして言語化ができたら、次は「なりたい理想のチーム」を決めます。
これは先述した”自分自身がどんな人間になりたいのか”を定義し、それぞれの行動規範がちゃんと1つの理想像に結びつくようにするためです。
“ひとりひとりの自律した行動から価値を生み出すチーム”
これが今のプロジェクトチームのなりたい理想像です。理想像が決まったら、それを軸に、言語化した価値観の要素をカテゴライズして、それぞれ1つの規範として仕上げていきます。
もちろん自分だけでは作り上げられないものなので、チームのメンバーにもレビューしてもらいながら進めていきました。
特に、チームの行動を縛るものにならないように注意していましたね。
このときも「どうやって規範にしよう」と悶々とすることがありましたが、「ユニコーン企業のひみつ -Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方」や「職場の「感情」論」といった書籍に力を貸してもらいました。
『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』Jonathan Rasmusson 著(オライリージャパン、2021年4月26日発行)より引用
『職場の「感情」論』相原 孝夫 著(日本経済新聞出版、2021年3月25日発行)より引用
こうして、プロジェクトにおける行動規範が完成しました。
プロジェクトにおける5つの行動規範
実際に作成したプロジェクトの5つの行動規範はこちらです。つくるものへの責任を自分自身が持つ
- 自分自身の意見を明確に持って責任を負い、価値を届けるまでを全うする
- 価値に納得できるまで対話する努力を惜しまない
意見を尊重し受け入れて議論する
- すべての意見は能力や立場にかかわらず、その人が善意を持って出したものとして捉える
- 尊重の上での意見の摩擦は、互いの成長の糧になるので歓迎する
いつでも助け合う関係である
- 自分には関係がないと断ち切るのではなく、ひとの作業に関心を持ち支援することを心がける
- 助け合うために情報はオープンに保つ
言葉より行動で答える
- 行動が信頼を生むと考え、動かずに失敗しないよりも、動いて失敗することに価値をおく
- 行動して、結果から学び、そしてまた行動する
幸せであろうとし続ける
- ひとりひとりが仕事に何を望み何に幸福を感じるか、互いに関心を持ち、どうすれば幸せでいられるかを考え合えるチームがいい
- 自分たちが健やかで幸せであろうとすることを忘れない
ただ、当たり前なことをする速度と精度を上げることはとても重要で、シンプルなプレーをどれだけ速く正確にできるかがチームワークの鍵となります。
そういった意味で、今回作った行動規範については納得しています。
まとめ
行動規範を作ってからまだ1~2ヶ月ほどで、自分たちでもどういった効果が出ているのかを確かめているところです。そんな中でも、行動規範によって得られたと感じているメリットはこちらです。
- チームの文化を言語化することで、全員が共通認識を持つことができる
- チームにおいてどういう判断や振るまいが求められ、賞賛されるのかが明確になる
- それぞれのメンバーの得手不得手な判断や振るまいを互いに認識することができる
- オンボーディングでの文化浸透や、採用時の文化的ミスマッチの防止に使える
- 自分で掲げたからには努力すべしと、心に火を灯すことができる
そこからが、この行動規範の本当の価値が問われてくるところですね。
僕は、今のチームがとても好きです。
1人ひとりの個性があり、こだわりがあり、信頼できる人たちです。
そんなチームで作りあげてきた文化に、誇りを持っています。
だからこそ、その文化や価値観を大切にしたいですし、より理想を描いてゆきたいと思っています。
おわりに
24日目は 吉岡ひろき さんの記事です。ドリコムでは一緒に働くメンバーを募集しています!
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