これはドリコム Advent Calendar 2017 の3日目です。
2日目は尾崎春菜さんによる、デザイナーがゲーム開発ソフトを触ってみること です。

クライアントエンジニアの梅林です。

なぜ報連相?

エンジニアに限らず、ビジネスマナー研修などで報連相の重要性については教わりますが、細かなテクニックや考え方などは深掘られる事が稀なので、紹介してみようと思い立ちました。報連相と検索してすぐに出てくる事項は扱いませんので、報連相とは何かから知りたい方はそちらをご参照ください。

なぜ依頼?

エンジニアや若手に限らず、自分ひとりで完結する仕事はほぼ無いのですが、依頼の仕方も細かなテクニックのレベルまで教わる事は稀だと思うので、合わせて紹介する次第です。

この2つを身につけると何が嬉しいのか

  • 仕事が早く終わるようになります
  • (早く終わるので)量をこなせるようになります
  • (量をこなせるので)質が上がってきます
  • (質が上がるので)より大きな事を任されるようになります

こんな悩みを感じている人にオススメです

  • 大変な事をやっているのに評価されない
  • 仕事量が多すぎると不満を感じている
  • 指摘を多く受けるからいつ終わるか読めない

 

ここから本題です。各テクニックは関連する事もありますが、極力1つ1つ個別でも効果があるように切り分けてみました。

やりとりの往復を極力少なくする

全てに共通する考え方です。

口頭・電話・メール・チャット、どのコミュニケーション方法においても、報連相・依頼のやりとりが往復する場合は、何かの進め方や伝え方が上手くいっていない時です。毎回「一度のやりとりで終えるためにはどうしたら良いか」に少し手間をかけて準備する事で相手の時間を奪わずに済み、全体のかかる時間としては短くなります。「コミュニケーションの量を多くした方が良い」と言われることがあると思いますが、似たような事を何回も言ったり、本来一度で済む事を細切れに分けて伝えることは、質が高いと言えず間違った量の増やし方です。

また、簡潔であることと言葉数が足りないこと(説明不足)は別です。意味や意図が伝わる最小単位がどのくらいなのか、前提知識や背景がどこまで伝わっているのかは、相手やその時々で異なるため常に考えて備え続けることが必要です。

備えとは、条件付きの行動計画である

何か指摘を受けた際、その場で答える事が出来ずに「持ち帰ります」「そこまで考えてませんでした」となってしまうことありますでしょうか? もちろん自分自身に決定権が無い場合や関係者に相談しないと判断出来ない場合は多いと思います。ただ、事前に「◯◯の場合はこうする」「△△の場合はこうする」と考えを整理しておき、他者が関係し協力が必要な場合は声をかけておくことで、実際に△△となった場合の行動がすぐ取れるようになります。

これらは段取りや根回しと呼ばれることもありますが、詳しく表現するなら「先のことを考えて結果を想定し必要な調査や調整を終えておくこと」です。実際にやってみると、やりとりの往復が極めて少なくなり、常に物事が前に進んでいる感覚が持てると思います。

報告は、相手が聞きたいことを伝える

自分が言いたいことでは無く、相手が聞きたいことです。

相手が任せた仕事の進捗を聞いてきた場合、聞きたいことは以下が考えられます。

  • 期日通り終わるのか
  • 期待する量や質が担保できるのか
  • 想定外の事が起こっていないか
  • 何かサポートは必要ないのか

大抵の場合これらを聞く時「大丈夫?」や「進んでる?」のように一言で尋ねてくることが多いと思いますが、同じように「大丈夫です」「進んでます」とだけ答えても、やりとりが一度で終わらないことがあると思います(むしろ終わらないことの方が多い)。

何故終わらないのか、それは相手がYes/Noの答えだけを求めているのでは無く状況が知りたいからです。「はい。実装が一通り終わりまして、テストも8割がた終わって、一部不具合があったものの◯◯さんと相談し修正の目処は立っているので、明日の締め切りには余裕を持って間に合いそうです」のような答えが一度で来れば、「(やるべきことと期日の認識が一致してるので)大丈夫そうだね、引き続きよろしく」とすぐにやりとりが終えられるでしょう。

前置きの重要性

こちらから話しかける際に「いまお時間ありますか?」や「いま大丈夫ですか?」のような確認は、ほとんどの人が普段からしていることだと思います。ですがその後にいきなり話の具体的な内容に入っていないでしょうか?

ひとこと「◯◯の不具合の件で報告なのですが」や「◯◯の設計で悩んでいる箇所があるので相談させて頂きたいのですが」のように、まずは用件を手短に伝えることで、これから何を報告(または相談)しようとしているのかを聞き手が理解でき、スムーズに話が進みます。

連絡は、必要な対象者に確実に伝達する

言った、メッセージを出した、だけで終わっていませんか?

報告においても同様ですが、口頭で声量が足りず聴こえていなかったり、重要度が低く見間違える件名のメールや、他の話題を活発にしているチャット部屋でメンションを付けずに発言など、相手の返事やリアクションを確認せず伝えた気になっていると、成果に繋がらないばかりかクレームが来る要因にもなりかねません。

メーリングリストや大人数が入っているチャット部屋などは個々人への確認までは不要ですが、そもそもメールやメッセージ自体ちゃんと送れているのかは、MLのメンバに自分を含めてもらいメール受信したり、スマホアプリなどメッセージ送信したアプリとは別の環境で履歴を見るなど、常に確認する習慣をつけた方が良いです。

どこにゴールを置き、誰がボールを持っているのか

ここで言うゴールとは、どこまでやれば完了や完成なのかを指しており、ゴールの位置は、手前なのか奥なのかの1軸だけで考えると分かりやすいです。相手が求める(期待する)位置よりも手前だと期待に満たない(足りない)こと、奥だと期待を超えて配慮できたことを指しています。「ただ言った(投げた)だけ」と「相手に正しく意図や内容が伝達されたこと」は、自分側として言うことにゴールを置くか、相手側として伝わる(ひいては行動して貰う)ことにゴールを置くかの違いとなり、最終的な結果に影響してきます。またゴールの位置を見定めてからも、ボールの行方を見誤ると前に進みません。

ここで言うボールとは、次に行動するのは誰なのかを指しており、良く「ボールを持っているのは誰なのか」と表現することがあります。相手とのやりとりの中で、会話の最後が曖昧に終わる時があるかと思いますが、”次に誰が何をするのか”がハッキリしていないと、誰も動いていない状況が発生しがちなので注意が必要です。

相談は、先に自分の意見を持ってからいく

ノープランで指示を仰ぐのと、相談は全く別物です。本当に何をどうしたら良いのか分からないといった”相談された側がヒアリングをしつつ情報整理をする必要があるような相談”も時にはあるかと思いますが、大抵の場合は以下のどれかにあてはまると思います。

  • いくつか選択候補がある中でどれにするのが良いか悩んでいる
  • 途中までは自分で考えたけどここから先をどうやれば良いのか分からない
  • 何らかの問題の解決を任されたけど情報を集め終わったあと解決策を見出せない

これらの場合に「◯◯の件で悩んでまして、どうしたら良いですか?」とだけ話すと、相談してきた側がどこまで自分で考えてきたのかを、相談された側が質問して紐とかないといけないので時間を取られることになります。順序立てて「◯◯だと思って△△をしたんですが、××のような結果になってしまって、自分は△△のタイミングが悪かったのかも知れないと疑ってるのですが、他に何か考えられますか?」のように意味が通じるまとまりとして伝えることで「(そこまで試してみたのなら)△△の前にあのコマンド実行してみた?」のように一言でアドバイスを貰えたり、相談された側がYes/Noで答えられたりと時間を短縮することが出来ます。

「まず自分で考えてみて下さい」と良く言われる人は、相手の時間を奪っているという意識が持てていないのだと理解して、”相談する前の備え”に自分だけの時間を使うようにしてみて下さい。

ただし、調べた後に自分だけで考えた結果分からないものは、いくら時間をかけても分からないことが多いので、早めに有識者へ質問しましょう。

依頼は、実施有無による結果を想像させる

何のためにやるのかがハッキリしないと、特に忙しい時などはなかなか取り掛かってもらえないことがあります。期限を明確に伝えることはもちろんですが、その依頼をやった場合どうなるかやらない場合どうなるかの影響を何らかの形で伝えることで「この返答ってそんな重要なことに使われるの?すぐやらないと!」や「いまやっておかないと後々自分達に降りかかってきて面倒くさそう」など、背景や温度感が伝わり動いてもらいやすくなります。

ですが、この時「これをやって頂けると◯◯さんにとって△△のメリットがあります」なんてことは言わないで下さい。何故なら、多くの人は利己的だと思われたくないからです。

具体例を挙げるなら、期限付きの依頼を「末日までにお願いします」とだけ言われた場合と「末日までにご対応頂けると、最終結果が出るまでの期日が2週間早まります」や「末日までにご対応頂けると、集計作業にしっかり時間が取れて手戻りも少なくなると思いますので助かります」と言われた場合だといかがでしょうか?

依頼される側や依頼する側のメリットデメリットが想像できる内容を心がけてみて下さい。

報連相・依頼をされた時に考えること

ここまで報連相・依頼をする時のコツをご紹介してきましたが、最後は自分が報連相・依頼をされる側の話です。他者(上司、先輩、同僚、後輩、顧客、取引先)から発信されるものには様々あると思いますが、全てに共通する心構えは「相手の意図を汲み取り、理解した内容を自分の言葉で恐れず表現すること」です。

相手の意図を汲み取ることをしないで「◯◯ってどういうことですか?」と常に質問をすると都度会話が中断してしまい、”こんなことも分からないのか”だったり、”話の流れから理解できるでしょ”と思われたりしがちです。「◯◯って△△のことですよね?」と話せば、「そうそう、それで…」と続けられたり、認識が違った場合には「あ〜、それは××のことを指してて、それで…」のようにできることが多く、口頭での会話はスムーズにいくと思います。

また、全く確認しないと「本当に分かってる?」と不安がられることもあります。各コミュニケーション方法において最適な”間”で理解した内容の確認を挟みつつ、重要なキーワードはそのままに適度に自分の言葉に要約しながらやりとりを進めることで、認識の食い違いを起こすことなくスムーズにやりとりを終えられると思いますので、意識してみてください。

 

全体としては長文になってしまったのですが、1つでもお役に立てば幸いです。