これは ドリコム Advent Calendar 2018 の10日目です。
9日目は 清水未来 さんによる、新卒エンジニアが入社後すぐ現場に入れてよかったことです。

はじめに

皆様はじめまして!株式会社ドリコム、組織開発部の北原(ちっそ)と申します。
2013年卒でドリコムに入社し、マーケティング、新規事業、出戻りなどを経て、現在は組織開発部にいます。
組織開発という言葉を聞き慣れない方もいらっしゃるかもしれないですが、一言でいうと、社員のみんなと会社の目線をあわせて、みんなが楽しくお仕事できる環境を整えるようなお仕事をしています。

クリシンとは、クリティカルシンキングのことですが、組織開発部では色々な課題を解決していくにあたって、根本的な問題が何なのか、解決方法として何が最適なのかをもれなく検討することが大変重要になってくるため、部内のメンバー全員でクリシン講座として、色々な例題をつくってそれを解いていく、というワークをおこなっていました。
お仕事における問題解決の際によくクリシンを用いますが、クリシンを実生活の人間関係に落とし込んだ問題を解決する手段として用いるとどうなるのか、みんなで考えてみた結果を本記事ではお伝えしていきたいと思います。

クリシンとはなにかを語ると長くなってしまうので割愛しますが、この記事ではクリシン的に以下のようなアプローチでこの「問題」の「解決」に挑みました。

・イシューを見つけ出す:問題(イシュー)の本質がなにかを探る
・イシューをフレームワークを使って分解してみる(本記事ではAIDMAなどを使ってみました)
・分解した要素を評価する
・結論を具体的なコミュニケーションに落とし込む

なお、考え方については様々なアプローチ方法があると考えていますので、これが正解なのだ!という訳ではないと思っています。ひとつのやってみた結果ということで参考程度に軽く見ていただけますと幸いです。

パートナーに「私/僕と仕事どっちが大切なの!?」と詰め寄られた際にどうすればよいか

それでは、今回解いていく例題をご紹介します。

ある日旦那さんが帰宅すると、奥さんが「私と仕事どっちが大切なのっっっ!?」と感情的に訴えてきました。旦那さんはどういう対応を取るべきでしょうか?

なお、この夫婦の状況は・・・
①共働きで子供はいない
②奥さんは17時に退社しており家事全般は請け負っている。趣味は特になし。
③旦那さんは毎日23時頃に退社し疲れ切っているものの、仕事が大好き。
④休日はスキルアップのために読書と英会話に時間を費やしている。

また、旦那さんは今の仕事/週末の過ごし方の状況は変えることはしない、という条件をつけます。

イシューを見つけ出す

まずは何を解決していかなければいけないのか「イシュー」を見つけ出します。
旦那さんの立場からしてみるとこの問題のイシューは、家庭も仕事もうまくいかせるためには何と答えるべきか?となります。
ただ、今回の問題は相手に回答をしなければいけないので、イシューを発展させ、ターゲット(奥さん)側に立ったイシューを定める必要があります。
そこで、(旦那さん自身のゆずれない環境はそのままで)奥さんが求めているものを与えるには、どうすればよいか?というイシューに発展させていきます。
では奥さんは何を求めているのかを考えると、この旦那さんの状況と、一般的にこの究極の質問をしてくる場合の思考から、もっと旦那さんとコミュニケーションを取りたい、気にかけてほしい、大切にされてる感を感じたい…など、旦那さん→奥さんへの気持ち的なフォローを求めている、と推測されます。

ということで、イシューが明確になってきたところで、もれなくだぶりなく、検討するためにどうするか、枠組みをつくって考えていきます。

YES/NO枠組みを利用

枠組みの切り方は色々あると思いますが、今回は、求めていることに答えるという選択(YES)と、そもそも求めさせなければこのイシューは解決される(NO)という枠組みで考えてみました。

求める(気にかけてもらってる)状態をつくるための分類

まずは求める(気にかけてもらってる)ことに対しての手法を考えていきます。
手法を考えるにあたって、「心理的」に気にかけてると感じさせる、「物理的」に気にかけていると感じさせる、という2つに分けて考えてみました。
そこから、それぞれをまた枠組みで分解してみます。その結果がこちらです。

心理的な部分を、人の興味関心のフレームワークであるAIDMA+SHAREを入れて分解してみました。
そして物理的な部分を頻度、時間、場所、お金という掛け算で分類してみました。
もっと細かくすることもできそうですが、ここは終わりが見えなさそうなので、これでいったん終わりとします。

求めさせない(期待しない)状態をつくるための分類

求めている人に対して求めさせないためには、時間がかかるものも多いのでは?ということで、時間で分類してみました。

気を紛らわせる方法については、奥さんの性格や好きなことに左右されますが、条件で設定していないため、こういう物たちだよね、というところでとどめています。
短期的については「今」の対応となるので、回答で納得をさせる、ということのみで完了にしました。

枠組みで出したものを評価していく

ある程度枠が出てきたので、次に、これまでに出したものに対する評価を入れて手段の選択をしてみます。

物理的な枠組みとして出していたものに関しては、そもそも時間をかける必要が前提としてある、という点と、唯一時間がかからない「お金」で心を満たす、という選択肢は感情的になっている奥さんには適さないだろう、ということで、バツをつけました。

ここから、残ったものを組み合わせて導き出される手段として、

奥さんの発言(Attention)に対して興味を持ち(Interest)奥さんの気持ちを知りたい(Desire)ことを示した上で、旦那さん自身の状況を説明(Share)しつつ、今後は心理的な枠組みに沿ってコミュニケーションを取っていく(Action)ということで短期的な納得を得る。(今後Action取るためにこの出来事をMemory)
また、問題が再発しないよう、長期的に奥さんの気を他にそらすための対策をしつつ、お互いが平和に暮らせるようにする。

以上の結論を導き出しました。

結論を具体的なコミュニケーションに落とし込む

それでは結論を踏まえて、回答を作成していきます。
「私と仕事どっちが大切なのっっっ!?」

まずは感情的になっている奥さんの気持ちを落ち着かせるために、Why?So What?的に謝罪の気持ちを伝えます。
(ただ「ごめん」と言うと、「謝ればいいと思ってるんでしょ!何に対してのごめんなのよ!」という感情的な反論を受ける可能性が高いためです)

「そんな思いをさせてしまったこと、言われないと気がつけなくて、ごめんね」

ここから、なぜそのような気持ちにさせてしまったのか、興味を持っていて、奥さんの気持ちをしっかりと知りたいのだ、という意思を表明します。

「そんなつもりはなかったのだけど、どうしてそんな気持ちになってしまったのか、教えてくれるかな…?」

ここできっと奥さんは、旦那さんとコミュニケーションが取れていないことや、休日まで自分に対して時間を割かないことに対して、怒りや悲しみの気持ちを伝えることでしょう…

そこでまずは共感を伝えつつ、自身の状況をShareしていき、今後の対策を伝えることで納得を得ていきます。

「そうだよね…ごめんね。でも僕は仕事がすごく好きでやっているというのもあるけど、仕事を頑張ることで安心した生活をできるように君のためにも頑張りたいと思っているんだよ。休日の読書や英会話も、もっと自分のスキルを上げて、もっとよい仕事をしていけるようにするためだから、これを変えることは難しいと思っている。」

仕事を頑張るのは自分のためでもあり、君のためでもあるのだ、ということを伝えた上で、自分が譲れない休日の過ごし方を変えることは難しいという宣言をします。
ただ、ここで終わると、今回のイシューである「奥さんが求めているものを与える」ことはできないので、今後のActionを提供します。

「たくさんの時間をつくってなにかをすることはあまりできないけれど、寂しい思いをしないように、明日からすぐにできることとして、君が今日なにをしたのかとか、僕がいまどんなことをしているのかとか、会話はもっとしていこうね。」
「おっけい!」

これで短期的なこの場での回答を完了し、この場はおさめます。
しかしこれで終わってしまっては、長期的にまた同じような問題が発生するかもしれないので、そもそも奥さんがこのような発言をしないように仕向けていきたいところです。

なので、今後の会話では、

「最近○○が流行ってるみたいなんだけど、面白いのかな?ちょっとやってみたら?」
「昔○○をやってたって前に言ってたよね。またやってみたら?」
「猫好きだったよね!知り合いに子猫が生まれたみたいなんだけど、飼ってみるのはどうかな?」

などなど…奥さんの興味が、趣味やかわいい猫さんにうつるよう、何かと勧めてみたりしてみましょう。

以上が結論となります。

おわりに

いかがだったでしょうか?我ながらすこし無理やりなところもあるとは感じつつも、結論まで出し切ってみました。
まあ、実際には使う相手もいませんので、本当にうまくいくかは分かりませんが笑

クリスマスはパートナー持ちにとっては浮かれるタイミングであるものの、仕事人的には年末という大忙しなタイミングでもありますよね。
お仕事を優先してパートナーに怒られたときは、参考にしていただければと思います。

それではみなさん、よいクリスマスを~!!