これはドリコム Advent Calendar 2017 14日目です。
13日目は廣田さんによる、『Web Audio APIのAudioBufferと仲良くなる』です
■自己紹介
初めまして、宇佐美です。
新卒の頃からゲーム業界に足を踏み入れ、気が付けば30歳を過ぎてしまった、よくある例の一人です。
最近は、とある運営中のゲームアプリのディレクターや、プロデューサー等をやらせていただいております。
■はじめに
かれこれ10年近く現場で人とコミュニケーションを取る機会が多い仕事をしているのですが、
その中で学んだ「上手にコミュニケーションを取る方法」をご紹介したいと思います。
※この方が絶対良いだろうなとは思っているものの、自分でも体現できていない事例もありますが
その辺は棚に上げまくって偉そうにツラツラと書いていきたいと思います。
※本当に当たり前の事を書いているだけなので、(まぁそうだよね)ぐらいの気持ちで読んでもらえると幸いです。
■そもそもコミュニケーションって?
皆さんは「コミュニケーション」「コミュ力」と聞いて、
どんなものをイメージするでしょうか?
・人を気持ち良くさせる話術
・初対面の人とでもすぐ仲良くなれる話題選び
・人を不快にさせない笑顔
・なんとなく話しかけやすい空気
など、人それぞれだとは思いますが、
大体この辺のイメージが強いのではと思います。
しかし、お仕事におけるコミュニケーションとは
上記のいずれとも少し違います。いやまぁどれも必要なんですけど。
今までの経験の中で、僕の中で定義付けたコミュニケーションとは、
「自分が求める情報を正しく吸い上げる技術」
「相手が求める情報を正しく伝える技術」
の事を指します。指すようにしてます。
■「自分が求める情報を正しく吸い上げる技術」とは?
これは言い換えると、
「相手が自分に対して伝えやすいように、求めている情報を説明する事」
になります。
お仕事の上で、「いまちょっと良いですか?この件なんですけど…」と、
誰かに話を聞きに行く事、絶対にあると思います。
そんな時の良い例、悪い例をちょっと挙げてみましょう。
シチュエーション例
あなたは今、プランナーとしてとあるソーシャルゲームの運営をしています。
そんな中、ガチャの機能に新しく10+1連ガチャ機能を搭載したいと考えつき、
エンジニアさんに実現性の程を聞きに行きました。
悪い例
あなた「すみません、10+1連作りたいんですけど、出来ますか?」
エンジニア「え…そりゃ…まぁ、作ろうと思えば作れるけど…」
あなた「そうですか。ありがとうございます!」
いやいやいやいやいやいや!
ダメです。これだけ聞いて帰ってきたら、さすがに僕も怒ります。
ではここで、良い例を挙げてみましょう。
良い例
あなた「すみません、いま売上を伸ばす為にガチャの新しい機能を考えてて、二か月後のアップデートまでに10連+1を作りたいんですけど、現実的ですか?」
あなた「ちなみに10連+1っていうのは、10回分の石の数で11回分引ける機能で、通常の1連ガチャとは別ボタンでやりたいんですよね」
エンジニア「それぐらいならリソースさえもらえれば間に合うと思うよ!」
あなた「そうですか。ありがとうございます!」
同じ返答1つでも、情報の安心感が全然違いますよね。
この情報で報告を受けたディレクターも、回答したエンジニアさんも安心できます。
本当は実現に向けて、
その後に改めてちゃんと仕様書にして、キックオフをして、マイルストンを切って…ってやるのですが、
この記事では一旦ここまでで良しとしましょう。
さて、ここであなたが求めている情報を整理してみましょう。
・下記の要件を含む新たなガチャ機能が実現可能かを知りたい
∟既存のガチャに10連+1機能を搭載したい
∟新たなUIで作りたい
∟二か月後のアップデートに間に合わせたい
・実現する為には何が必要なのか知りたい
悪い例では、上記「新たなガチャ機能が実現可能か」としか伝えておらず、
その中に含まれている要件が何も相手に伝わっていない為、
そりゃエンジニアさんも返答のしようがありません。
このように、
自分が求める情報を手に入れるには、
それを導き出すに値する情報を相手に提供する必要があります。
この例を凡例としてまとめると、
どんな質問の時でも、下記が相手に伝わっていれば、何かしら有益な情報を引き出す事が出来ます。
・背景(今がこうだから)
・目的(何のために)
・概要(何が)
・期日(いつまでに)
これが出来ていると、
「あの人と一緒に仕事してると、スムーズに事が運んでやりやすいんだよね」
と良い評価を得る事ができ、周囲から信頼を得られる事間違いなしです。
■「相手が求める情報を正しく伝える技術」とは?
これは前述の「自分が求める情報を正しく吸い上げる技術」とは逆のケースですね。
今度はこれを言い換えると、
「相手が何を知りたいのか想像する事」
になります。
どんなお仕事をしていても、必ず誰かに質問されるケースは存在します。
そういった時に、スマートに相手の疑問を解決できると、一味違うあなたになれます。
こちらも悪い例と良い例をあげてみましょう。
シチュエーション例
あなたは今、プランナーとして新規ゲーム開発の真っただ中です。
そんな中、デザイナーさんからとあるUIの実装について質問を受けました。
悪い例
デザイナ「すみません、このテキストウィンドウの汎用ボタンって、何パターンぐらいありますか?」
あなた「3パターンぐらいですね」
デザイナ「…わ、わかりました。ありがとうございます。やってみます」
はいダメ!バツです!
こんな返答してるプランナーが居たら小一時間ラーメン屋に連行です。
それでは、次に良い例を挙げてみましょう。
良い例
デザイナ「すみません、このテキストウィンドウの汎用ボタンって、何パターンぐらいありますか?」
あなた「4パターンですね。「はい」「いいえ」「その他の文言」で使う想定をしています」
あなた「「いいえ」は通常色と危険色で2つ作っておきたいです」
あなた「「その他の文言」はまだ詳細決まってないのですが、最大6文字ぐらいで一旦作っておいてもらって良いですか?」
デザイナ「わかりました。ありがとうございます。作っておきます!」
おそらくこれでデザイナーさんは、不安なくその作業に取り掛かる事ができるでしょう。
(それぐらい仕様書に書いておけよってツッコミは無しでお願いします)
ここでデザイナーさんが知りたいのは、
・結局ボタン素材は何個作れば良いのか?
の一点のみです。
ボタン素材を構成するのは主に「大きさ」「色」の2つなので、
それを具体的にイメージできるように情報を提供する必要があります。
悪い例のように、ただ聞かれた事をそのまま返すだけでは、
なんのコミュニケーションになっていません。
もう一つ別の例を挙げてみましょう。
シチュエーション例
あなたは今、プランナーとして締切間際で超忙しい状態にあります。
そんな中、別のプランナーからこんな質問を受けました。
どちらの方がより親切な回答でしょうか?
例1)
プランナー「ねぇ、ティッシュってどこにあるか知らない?」
あなた「知らない」
例2)
プランナー「ねぇ、ティッシュってどこにあるか知らない?」
あなた「知らないけど、備品のことならきっと総務さんか総務担当の方なら知ってるんじゃない?」
圧倒的に後者です。
別に自分が直接答えを用意できなくても良いです。
相手はあくまで、「ティッシュを手に入れる」という目的を果たせれば良いので、
その目的に対してアドバイスをしてあげるだけでも良いのです。
前述のデザイナーさんの例でもそうですが、
この例を凡例としてまとめると、
どんな質問の時でも
・相手が何を求めているのか
・それを導き出す為には何を伝えたら良いのか
さえ押さえておけば、大体は大丈夫です。
そうできる為にも、普段から他の人がどんな仕事をしているのか、
しっかりアンテナを貼っておくと、より効果的です。
もしくは、何を求めてるか分からなかったら、聞いちゃった方が早いです。
こういった気遣いは、忙しければ忙しい程忘れがちだったり、怠りがちだったりします。
そんな時でもちゃんと応対する事が出来るようになると、
「あの人と一緒に仕事してると、スムーズに事が運んでやりやすいんだよね」
と良い評価を得る事ができ、周囲から信頼を得られる事間違いなしです。
大事なことなので2回言いました。
■最後に
基本的にコミュニケーションの基本は「伝達」にあります。
上記では口頭でのコミュニケーションに限定して例を挙げましたが、
これは例えばメールやドキュメントを例に挙げても同じ事が言えます。
・外注さんとのやり取りでのメール
・ゲーム開発における仕様書
・CS(カスタマーサポート)さんとのチャットなどでのやり取り
など、必ずコミュニケーションが発生する場合は、受け取り側の相手がいます。
その相手に合わせて、柔軟に情報の伝達ができる力の事を
「コミュ力」
と言うのです。
現場の評価とは、何か一発大きな仕事を成功させるより、
日々の何気ないやり取りの中で形成されていくものです。
願わくば、これからお仕事でコミュニケーション機会が増える方々が、
「あの人と一緒に仕事してると、スムーズに事が運んでやりやすいんだよね」
と評されるようになる事をお祈りしています。
(本当に大事な事なので3回言いました)
おわり。