はじめまして、ドリコムでエンジニアをやっているイシカワと申します。

少し前の出来事になりますが、アカツキさんと「社会人交換留学」を行いましたので報告します。昨年にピクシブさんと行った留学と同様、とてもおもしろい結果となりました。社会人交換留学について初めての方は、過去記事に目を通すと雰囲気がつかめます。ぜひ一読ください。

基本は前回の取り組みを踏襲してますが、今回はサーバーエンジニアではなくクライアントエンジニア同士の交換になったことが違います。まず2月下旬にアカツキさんからtakumi-shimomuraさんを迎えて1週間すごしてもらった後、3月中旬に私がアカツキさんへ1週間いってきました。

目次

留学の動機

昨年末に目黒近郊の会社と交換留学する企画が持ち上がり、その流れで中目黒に本社があるアカツキさんと留学をやる運びとなりました。で、今年に入って社内で留学生を募っていたところ、たまたまマネージャーから「行ってみる?」と相談を受け、少し迷った末、引き受けることに。

自分が入社したのは2010年、気がつけば今年で6年目です。良くも悪くも今の環境に慣れすぎてしまい停滞感を覚えることがありました。そんな微妙な時期でしたので、外から変化を与えて自分を揺さぶるには留学はいい機会かも?と思ったんですね。それにあくまで留学ですので、環境を変えるために転職するリスクを冒す必要もなかったのも後押しした気がします。あと、代官山のおしゃれなオフィスをのぞいてみたい、というミーハーな動機もあったかな……。

留学前にやったこと

交換留学はわずか5日の短期決戦です。いきなり挑んでは環境を整えるだけで貴重な1日が潰れてしまうので、留学開始の一週間前にお互い会社へ訪問して事前準備を行いました。

この準備訪問でやったことは、

  • LANの接続設定
  • GitHubや社内サービスのアカウント設定
  • 配属先のチームの相談と留学中のタスクの案出し
  • 関わりそうなメンバーとの顔合わせ

などです。

受け入れにあたっては、開発環境周りはすでに前回の例があったので、関係者に相談しながら比較的スムーズに事を進めることができました。反対にアカツキさんでは初めての事案なので戸惑うことが多かったかもしれません。

一方、「配属先のチームの相談と留学中のタスクの案出し」は、共に準備訪問後もチャットで連絡を取り合い時間をかけて内容を詰めていきました。初日からすぐにチームの一員として働くには事前の作業計画が重要と考えたからです。この辺りは丁寧にやったおかげで、私の場合、一日目から実作業に着手し二日目から早速アウトプットを出すことができました。

留学中にやったこと

留学中は自社タイトルの新作ゲームの開発チームに配属させてもらいました。座席は本社ビルの3階で、ホスト役のtakumi-shimomuraさんとthe40sanさんには気軽に何でも相談できるよう隣に席を移動してもらいました。執務室は全体的に静かで照明が明るすぎず、とても作業に集中できる環境でした。

以下、やったことをざっと挙げてみます。

ネットワーク周りのデバッグ効率の向上

ゲームクライアントのコードに手を加えて、プロキシサーバー経由で透過的に通信内容を確認したり改ざんしたりする仕組みを用意しました。

社内ツールの機能改善

某スマフォゲームの発表スライドからインスパイアされたという噂のマスターデータ出力ツール。たまたまこちらでバグを発見したのがきっかけで関わることになりました。

社内インタビュー

各チームのリーダー格のエンジニアさんと1コマ30分の雑談をしてきました。

ちなみに、皆さんからお話を聞いてしばしば感じたのは、プロダクトや所属チームに対する思い入れの強さです。あるプロダクトからは原作への愛がものすごく伝わってくる取り組みを紹介してもらい大変興奮してしまいました。

競合他社ゆえの制約

ところで、アカツキさんとドリコムは互いに主力事業が携帯端末向けゲームの企画・開発であり、ビジネス上では競合他社の関係にあります。前回のピクシブさんと打って変わり、今回は留学期間中の情報統制に細心の注意を払う必要がありました。

基本的には、秘密保持契約(NDA)を結んだ上で

  • 機密情報には論理的にアクセスできないように社内サービスの利用を制限する
  • 開発中の画面や運用情報が目に飛び込んでくることを出来るだけ避けるため、物理的にもオフィス内の動線や執務スペースとの距離に制限を設ける
  • 機密情報の取り扱いについて社員の意識を徹底する
  • 留学当事者が自社内での情報展開をしないよう制限する

といった対応をしました。さらに留学関係者だけでなく双方の役員も巻き込み協力会社への事前説明なども行いました。

ただし、あまり行動の制約が大きいと交換留学の本来の目的が薄れてしまうので、NDAに抵触しない範囲で両社でどこまで許可するかその調整に苦心しました。そういう難しい状況の中、アカツキさんには出来るだけ自分が動きやすいように配慮してもらい、大変感謝しています。

アカツキさんの特色

とはいえ、得られたものが少なかったということでは決してありません。いざ行って数日観察していると、技術的な関心は次第に薄れ、むしろ興味は全くちがう方向にむかうことに。組織運営のあり方が今のドリコムと対照的だったからです。良い意味で期待を裏切られた、という感想でした。

私からみたアカツキさんの特色は以下の3つです。

毎日、全社員が集まる朝会

アカツキさんの一日はなんと毎朝9時に正社員全員が集まる朝会から始まります。この朝会、業務報告というよりむしろみんなで雑談を交わす場となっているのが特徴で、些細な会話から普段かかわらない人たちと知り合うきっかけになってます。アカツキさんは従業員数に比べて正社員の割合が小さいので、少人数ならではの取り組みでしょう。社員同士のリアルなつながりを大切にしていることが伺い知れます。ドリコムの場合、正社員だけで200名近くに上るので毎朝集まるのは現実的に難しいかなあ。

徹底してプロダクト本位な組織体制

プロデューサーを中心にしたシンプルな体制が敷かれていました。大半の社員さんは特定のプロダクトに専属し、執務スペースもプロダクト毎に部屋が分かれているので、チームはあたかも社内スタジオのような存在になっています。ドリコムと共通する部分もありますが、アカツキさんはよりチームの一体感や効率を重視してプロダクト本位に振り切っている印象です。エンジニアの行動指針を定めた「アカツキ流開発」にも似た考えを認めることができます。

また「最高やワクワクの追求」の裁量は各チームにあります。全チーム共通のルールを重視するとプロセスが重くなりがちですし、そうなると変化しにくくなるのがマイナスだと捉えています。

「これくらいでいいんじゃない」と割り切りすぎず、追求することをいい意味で楽しんでいます。また各チームが独立して良い手法を探すことで、結果的に組織全体にとってベストの手法が見つかるという考え方をとっています。

アカツキ流開発

自治会のようなエンジニアの会議体

GitHubリポジトリに議論の場の用意し、話したいことがあればイシューを挙げるルールでミーティングが運営されていました。過去のイシューを読んでいると、単なる技術情報の共有だけでなく教育や採用まで話題が及び、自分たちのことは他人任せにしない自治会のような雰囲気を感じ取りました。

また、仕事の中の”遊び”を大切にしている姿勢も素敵ですね。私が参加した日は「ミーティングでカレー食べよう」という話でもちきりとなり、どんなカレーを作るか盛り上がってました。キーマカレーとマッサマンカレーの2つが候補であがってましたけど、果たしてどちらになったんでしょうか……。

Slackのイメージ

感想

留学を振り返ってあらためて認識したのは、会社の魅力というのは、社外秘の情報にあるのではなく、隠すまでもない普段の業務の中に潜んでいるということです。そういう意味で、オトナの事情により見聞きできる情報に制約はありましたが、「互いの文化のちがいを知る」という交換留学の目的は十分に達成できたと言えます。また、同業他社ゆえに互いの差を浮き彫りにする分かりやすい結果になった気がします。

一方、私個人に目を向けると、短期間でも新しい環境で働いたおかげで組織の比較対象が増えたのが大きいです。留学を終えて客観的な視野が確実に広がりましたし、新たな課題に気付くきっかけにもなりました。エンジニアの会議体などは大変参考になりそうなので、「まず隗より始めよ」の故事にしたがい自分の身の回りから始めてみるつもりです。年を重ねて視野の狭い老害になってしまう前に、いい経験ができて良かったです。

最後に

当初は期待と同じくらい不安も大きい留学でしたが、今はそんなことは杞憂だったと言えるくらい楽しく有意義な一週間でした。とりわけアカツキさんのオフィスは自分にとって大変居心地が良かったです。土足禁止のデザイナーズマンション風の執務室はすでに各所で紹介されてますが、そこで働く社員さんも気さくな人たちが多く素敵な会社でした。また偶然にも株式上場を迎えた日に滞在することができ、これから大きく変わろうとする会社の雰囲気を目の当たりにできて非常に運が良かったです。アカツキの皆さま、貴重な経験をさせていただきありがとうございました。

この「社会人交換留学」、自分がいざやってみると本当におもしろい取り組みでしたので、この流れでどんどん新しい会社とお付き合いしたいですね。

もしも興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社までお声かけください!

アカツキさん側から見た記事はこちら

ドリコムさんに「社会人交換留学」してきました – Akatsuki Hackers LAB

About the Author

石川 慎也

イシカワシンヤ

クライアントエンジニア

2010年入社。ソーシャルゲームのサーバーサイドエンジニアを経験した後、2015年からクライアントエンジニアに転向する。元々ソフトウェア全般に興味があり、職能の専門化が進む中、あえて時代の流れに逆行して今は分野を問わず開発業務をこなす。良くも悪くも器用なことが唯一の取り柄。