これは ドリコム Advent Calendar 2019の23日目です。
22日目は 渡部 さんによる、はじめよう GoogleAppsScript! GAS と Chatwork を連携して作るお手軽プッシュ通知 です。 こんにちは。渡辺と申します。
10年以上アニメーターを軸にCG屋をやっていますが、
3年程前に映像系からゲーム系に転職してきました。
現在は3D周りのディレクターをやらせて頂いてます。
経歴だけ見ると割とビッグタイトルに恵まれてきましたが、初心を忘れず!
ドリコムの一員として初めて記事を書くので、入門編から始めようと思います。
不弁舌ではございますが、よろしくお願い致します。

・アニメーション表現に関する基礎

まずアニメーションといえばコレ。
●アニメーションの12原則
01:Squash and Stretch(潰しと伸ばし)
02:Anticipation(予備動作)
03:Staging(演出)
04:Straight Ahead Action and Pose to Pose(逐次描きと原画による設計)
05:Follow Through and Overlapping Action(あと追いの工夫)
06:Slow In and Slow Out(両端づめ)
07:Arc(運動曲線)
08:Secondary Action(副次アクション)
09:Timing(タイミング)
10:Exaggeration(誇張)
11:Solid drawing(立体感のある絵)
12:Appeal(訴える力)

手描きも、CGも、リアルも、デフォルメも、この原則を極めれば最強です。
が!あくまで基礎的な考え方で縛られる必要はありません。
これらを習得したうえで自己流に落とし込めるのが理想かなと思います。
これをとても分かりやすく解説してくれる本がこちら。↓
名アニメーターのエリック・ゴールドバーグによる、
「キャラクターアニメーション クラッシュコース!」
https://www.amazon.co.jp/dp/4862463320/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_y9k-DbFR7BP6P
(((ステマじゃないよ)))


アニメーションの12原則とは、
「アニメーションであるために必要な要素」をまとめたものです。
これ1個ずつ説明すると、超大作のブログになってしまうので今回は割愛しますが、
興味ある方は是非読んでみてください。

ネットでよく見かける、バウンスボール等の練習動画は、
この12原則の習得と非常に相性がいいです。
手描きの人のもよく見かけますね。
実際に私も基本をよく忘れるので、たまにボールで練習するようにしています。
physics 練習
Exaggeration練習
これ、ものすごーく簡単に見えますが、
突き詰めていくと結構時間かかります・・・( ^ω^)
作業してると毎回いろんな事に気付けるし、リハビリにほんとオススメです。

その他、素材が準備できませんでしたが、特にお薦めしたいのが以下。

・ブロッキング1秒8フレ、補間なしでアクションと演技を数カット作ってみる。
 ブロッキング=モーションカーブを全部ステップにして、1秒間に8枚の原画
 (ポーズ)だけで、いかに効果的に動きを魅せるか。に集中できるやり方です。
 某有名TVアニメも大体1秒間に8枚くらいですね。
・企画、デザイン、コンテからモデル、リグ、カメラ(レイアウト)、モーション、ライティング、
 レンダリング、エフェクト、コンポジット、納品までの全工程を仕事として経験する。

 (お手伝いでも良いので先輩や上司にお願いしてください)
・映画やアニメを見ながら、カッコいいと思うショットのクロッキーを定期的に描いてみる。
・モーションヲタクを公言して寄ってくるモーション仲間とたくさん話す。
・作ったモーションは自信がなくても都度ネットに上げる(権利関係注意)
・虫や動物や人型のモーションを種族、種類別に作ってみる。


などが特にオススメです!
これをやってると“確実”に上達します!

また機会があれば、12原則の方も1つずつ丁寧に解説してみたいと思います!

・アニメーターが気を付けるべき落とし穴①


完全分業制の会社にお勤めの方は、
デザイナー・モデラー・リガー・アニメーターと住み分けがあると思います。
職種間の壁が無く、キャッチボールが密でないと、
うまく動かせない、動かしても見た目がダサい&シルエットが崩れる、
そもそも動かしたくない、そんなキャラデータを受け取ることがあります。
それでもなんとかモーションを付けて提出すると、
プロデューサーやディレクターチェックで総ツッコミに遭う。
よくある事だとは思いますが、これがとんでもなく無駄に工数を増やします。
しわ寄せはあなたに来ます。環境・フローを整備しましょう。
モデリング段階で骨を入れている場合は、ラフモデルの段階で一旦仮納品してもらうと良いです。
仮モデルで仮RIGを組み、他キャラ等で使用した既存モーション等を流し込みます。
このタイミングで見つけた問題を優しく投げ返しておけば、
デザイナー・モデラー・リガーは比較的改善に向けて動いてくれます。
初めは「手数増えて大変じゃん!」と思うかもしれませんが、
結果的にロスがかなり減るので、都度検証と職種間の会話をを頑張りましょう!
更にこの検証データを実装班やポスプロ班にも都度共有できるようにすれば、
100点満点です。未然防止策は皆を幸せにしてくれます。
流し込みが面倒な方はこちらをご活用ください。
・Studio Library
https://www.studiolibrary.com/

神レベルのフリーウェアですが、意外と知らない人が多いです。
Maya上ポーズやアニメーションをサムネイル付きで管理出来るツールです。
名前の通りポーズやアニメーションをライブラリ化できるため、
同じ構造・名前であればネームスペースが異なっていても即流用できる、
複数の人間でポーズやアニメーションを共有できるという、
Mayaでアニメーションを行う人にはエクスカリバー的なプラグインです!


・アニメーターが気を付けるべき落とし穴②


私はこれまでCG屋として幾度となく壁にぶち当たり、
時にはへし折れ、業界を去った時期もありました。
しかし復活した今、自分が味わった苦悩を皆さんには経験して欲しくありません。
(とても辛かったので・・・)
なので微力ではありますが、新人さんでよく見かける問題と、
中堅さんでよく出くわす問題について少し書いてみます。
まず新人アニメーターの多くは作業前のプランニングが雑になりがちです。
スムーズで滑らかなモーションを作ることに必死になるにつれ、
次第に絵としてのキーポーズやシルエットが崩れていき、
スペーシング(コマ割り)やタメツメ、メリハリの欠如したアニメーションを、
無意識のうちに作り出してしまう。という事が多いように思います。
例えリファレンス動画を撮っていたとしてもです。
スムーズで滑らかなモーションも良いですが、
あくまで中割り(動画)よりも原画を優先すべきです。
多くの観客はポージングやタメツメ、メリハリやケレン味の方にカタルシスを感じます。
絶えずインプットとアウトプットの確度を意識し続けて、
ゴールを明確にしてから作業を始めれば解決です。
勘に頼って作るのも限界があるので、必ず資料を探すのが良いです。
周りの人にも見てもらって、自由な意見をもらいましょう!
聞く姿勢ができていれば、その分視界が広がるはずです。

そしてこれが、ある程度安定したアニメーションが作れるようになって、
立場も中堅レベルになってくると、脳死状態で只々量産マシンと化した上、
それ以降全く成長しなくなる。という落とし穴もよく見られます。
なかにはそれ(脳死マシンクオリティ)を周りに強要する人も。

量産の時期は確かに自由度も少なく、”デザイン”でなく”作業”になりがちです。
業務外で自主製作をするのも良いですが、時間が無く挫折する人も多いです。
脳死マシンを脱却するには量産=効率化がものを言います。
可能な限りの自動化を図りましょう。
御社がブラックでない限り、生まれた余裕でクエイティブは楽しめます。
好きなものを一生かけて突き詰めていく。という気持ちは、
メンタルや環境によっては薄れやすかったり、大変脆かったりします。
「ここまで作れるようになったからいいや。あとは楽して稼ぎたい」
という発想は、アニメーターにとって死を意味します。
基本的にアニメーターはブランクが空くと、割とすぐに腕が落ちると言われています。
加えて観客や業界の求めるクオリティは日々上がっていくし、
トレンドの表現方法やツールに取り残されたらそこで終わりです。
好きの持続に必須なのは適切な環境です。環境が無ければ作りましょう。
それも難しければ、いよいよ転職の時かも!です。

楽しみながら、夢中で作品を作り続け、
いつしかあなたにしか創れない傑作が世に放たれますように。
私はそれを観て楽しみたいし、心から待ち望んでいます。

駄文失礼しました。
またいつか~。m(__)m
明日は 青木慎 さんの記事です。
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