こんにちは、エンジニアの広井淳貴です。
DRIP – Drecom Invention Project にエンジニアとしてジョインしています。
DRIPとは、ドリコムが発明を生み続けるためのプロジェクトで、その中でわたしは 3Dリアルマップの研究開発を行っています。

今年の CEDEC に以下のセッションにて登壇させていただきました。

3Dリアルマップを用いたモバイルゲーム開発における課題とその解決方法
https://2018.cedec.cesa.or.jp/session/detail/s5b2749854c68c

講演の動画、スライドは以下です。

https://www.slideshare.net/drecom/3d-117492469

今回は、Tech Inside Drecom で講演のフォローアップとして AROW の紹介をさせていただきます。

AROWとは

AROWとは、位置情報と3Dリアルマップを活用し、没入感のある新しいゲーム体験を実現することを目指し開発を進めているプラットフォームです。

没入感のある新しいゲーム体験とは、現実世界の町並みをゲーム世界観を反映した3Dで表現することによって、プレイヤーがゲームと現実世界の町並みでつながりを感じられるようなゲーム体験です。

プラットフォームとしては、位置情報と3Dリアルマップを用いたアプリ・ゲームをローコストかつ短期間で手軽に開発できる環境を提供することを目指しています。開発環境は Unity です。また、AROWの中でマップデータ、POIデータの提供も行います。
POI(POI: Point of Interest)とは、実際の地図上で表現できるポイントとそのポイントが持つ情報の組み合わせのことを呼んでおり、複数のPOIをまとめたものをPOIデータと呼んでいます。

AROWを使ったマップゲーム開発

AROWではマップゲーム開発のために「マップデータとPOIデータの提供」「それらをUnityで実装可能なデータへと変換するライブラリ」「テクスチャやモデルの置換によるアートデザイン適用」といった機能を提供予定です。

講演の中では、機能の説明として開発中のAROWを使ったデモを行いました。

マップデータからの3Dモデル作成(講演動画の 12:00〜15:45 付近)

マップデータとライブラリを利用することで、Unity 上で 3Dモデルを生成し、テクスチャを設定することができます。
デモの結果、自動生成したものの画像が以下です。

マップデータから建物の形データを読み込み、3Dリアルマップの建物3Dモデルに反映しています。左が自動生成した3Dモデル、右がテクスチャを設定した3Dモデルです。

デモはすべて Unity Editor の操作ですが、アプリ実行中にマップデータをダウンロードし、3Dの街を生成するといったことも可能です。
ライブラリを組み込んだモバイルの Unity アプリでも 3D モデルを生成することができます。

講演の中で触れることができなかった機能として、3Dモデルの自動生成について複数のメッシュ生成・テクスチャ適用パターンを開発中です。
複数のパターンを用意することでゲーム開発者が目的にあったパターンを選択できるようになることを目指しています。例えば、「建物をよりリッチに表現したい場合はポリゴン数・テクスチャ数が多いパターンを選択する」「処理負荷を抑えたい場合は場合はポリゴン数・テクスチャ数が少ないパターンを選択する」といった選択を可能にしたいと考えています。

POIデータをゲーム内で活用する(講演動画の 16:00〜18:00 付近)

マップデータとPOIデータを利用して、実際の地図でPOIとなっている建物をゲーム内でモデル置換することができます。
モデル置換のイメージとなる画像は以下です。

左がマップデータとコンビニのPOIデータを用いてコンビニの建物にピンを表示した3Dマップ、右がコンビニの建物を城モデルに置換した3Dマップです。

マップデータとそれぞれのPOIデータは別のデータとして用意しており、ゲーム開発者がゲームに応じて組み合わせて使うことを想定しています。
また、ゲーム開発者がゲーム独自にPOIデータを用意・利用するということもできるよう目指しております。

AROWを使ったサンプルゲーム「アニマルランランド」について

AROWを使ったサンプルゲームとして「アニマルランランド」を開発しています。
周辺の街が遊園地になり、遊園地を舞台にアニマルカーが走り回ってスコアを競い合うランゲームです。

このゲームでは自分の現在地周辺のマップデータをダウンロードし、遊園地の世界観でマップを生成します。
AROWを利用してマップに生成するものは「道路」と「学校や公園といったPOI」です。とくにPOIは位置情報と建物種類のデータを利用しており、建物種類に応じて遊園地の遊具に置換しています。

今年のリリースを予定しています。お手にとって遊んでいただけるとうれしいです。

CEDEC での講演について

今回 CEDEC の講演という形で AROWの紹介をしましたが、講演後に参加していただいた方と会話をすることができました。
その中で、実際に触ってみたいという声を多く聞くことができ、AROWのプラットフォームが目指す「3Dリアルマップを用いたアプリ・ゲームをローコストかつ短期間で手軽に開発できる環境」への自信につながっております。
講演に足を運んでくれた方、また、CEDEC の運営のみなさま、本当にありがとうございました。
AROWのリリースに向けて、引き続き開発を進めていきます。

最後に

AROWでは、オープンテスト版にご協力いただける開発者様を募集しています。
オープンテスト版に関する今後のアップデート情報をご希望の開発者様はサイトより事前登録をお願いいたします。

https://arow.world/